有尾 一郎 博士 特別講演会

日時: 2006年06月23日(金) 14:00〜
場所: 京都大学 工学部物理系校舎 2階 211会議室
講演者: 有尾一郎 (広島大学大学院工学研究科・助手)
講演題目: 仮題「(FCC)格子構造の分岐構造と超並列高速計算の可能性」
講演要旨:

対称性は自然界のミクロな素粒子,原子,分子,結晶構造から人工構造物のドーム,シェル等の大規模構造物まで幅広く存在しますが,それらの対称性を持つ構造系の対称性の基本的な特性を調べるための研究が量子力学や量子化学の分野を中心に進められ,現在各分野で対称性に関する利用法が試みられています。対称性を数理的に表現する方法として現在群論が定着しています。

一方,近代分岐理論はH.Sattingerによって数学的に表現され,理工学の分野で用いられるようになりました。この分岐現象は構造物や材料等の破壊形態の一つであり,Euler座屈や円筒シェルの提灯座屈等の構造物の破壊から金属材料のすべり線形成や砂の破壊等の各種の物理現象に対し分岐現象が発現し,多種多様な方法論が現在展開されています。また,分岐理論そのものも時代とともに進化し,Koiterの初期不整感度則理論やThompson・Huntのカタストロフィ理論による、分岐点の分類および上述の群論に基づく分岐現象の解明へ体系化されつつあります。

当日は,様々な対称構造系の物理(分岐)現象事例をベースに、(fcc)周期格子構造の対称性空間の分岐解析手法(群論的分岐理論)とそれを応用した超高速並列計算法の可能性について話題をご提示させていただき、そこから視えてくるものをディスカッションさせていただきたいと思います。


京都大学大学院 工学研究科 機械理工学専攻 マイクロエンジニアリング専攻 航空宇宙工学専攻
情報学研究科 複雑系科学専攻
京都大学 国際融合創造センター
拠点リーダー 土屋和雄(工学研究科・航空宇宙工学専攻)
本拠点に関するお問合せは 拠点事務局 まで